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2026年6月 市場レポート:四半期末駆け込みで登録車急伸、軽3カ月連続マイナス、中古相場は高値圏

普通自動車の登録台数を発表している「自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)」と、軽自動車の登録台数を発表している「全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)」の統計データをもとに、新車登録台数と中古車登録台数の推移を紹介しています。

Chapter

今月の核

Section 1: 今月のマクロ環境

Section 2: 今月の核の深掘り - 駆け込み登録の実態と、供給増でも下がらない中古車相場

Section 3: 車種・ボディタイプ動向

Section 4: 今月の示唆

今月の核

2026年6月の国内新車販売は前年同月比+8.6%の42万6,883台と3カ月連続プラス。登録車が+13.7%と四半期末駆け込みで急伸した一方、軽自動車は-0.2%で3カ月連続マイナスとなり、「登高軽低」の構図が固定化しつつある。中古車オークションB2BではUSSの成約単価が131万5千円(前年比+6.9%)と年初来最高値を更新。出品台数が+10.4%と供給増にもかかわらず成約台数は+14.2%と需要がそれを上回り、需給タイト化はむしろ強まっている。さらに7月28日に発生した熊本地震(震度7)はトヨタ九州・ホンダ・ダイハツ・日産の工場を停止させ、半導体サプライチェーンにも波及。8月以降の新車供給と中古車相場に新たな不透明要因が加わった。

Section 1: 今月のマクロ環境

新車市場 - 登録車が四半期末駆け込みで急伸、軽は3カ月連続マイナス

2026年6月の国内新車販売台数(自販連・全軽自協発表)は登録車+軽の合計で42万6,883台、前年同月比+8.6%で3カ月連続のプラス。上期(1-6月)累計では238万7,189台(同+1.8%)と2年連続で前年を上回った。

登録車は28万1,571台(同+13.7%、自販連発表)。5月の+5.6%から大幅に加速したが、累計(1-6月)では153万413台(同+2.0%)と穏やかな伸びであり、単月の急伸は四半期末・上半期末の登録駆け込みの色が濃い。内訳は普通乗用車が16万6,501台(同+15.2%)、小型乗用車が8万1,455台(同+11.9%)、貨物車が3万2,507台(同+10.0%)と乗用車がけん引した。ブランド別ではトヨタが13万9,681台(同+19.3%)と突出し、ノア/ヴォクシーの受注制限撤廃やカローラの一部改良効果が数量に表れている。ホンダ3万2,676台(同+20.9%)、マツダ1万1,253台(同+23.5%)と、トヨタ以外のブランドも軒並み2桁増を記録した。マツダはCX-5のフルモデルチェンジ効果でプラスを回復した(AUTOCAR JAPAN 2026年7月報道)。一方、日産は2万277台(同-3.7%)と低迷が続き、上期累計では11万9,321台(同-10.8%)と1993年以降の統計で過去最低を更新した。

軽自動車は14万5,312台(同-0.2%、全軽自協発表)。4月-2.1%、5月-2.1%に続く3カ月連続の前年割れで、全軽自協は「市場をけん引してきた売れ筋車種がモデルチェンジから年月を経て、新型車効果が薄れたことなどが考えられる」と分析している(全軽自協速報、2026年7月1日発表)。内訳は乗用車11万2,496台(同+0.6%)と3カ月ぶり微増に転じたが、貨物車3万2,816台(同-2.9%)が減少した。上期累計では85万6,776台(同+1.3%)と辛うじてプラスを維持したが、1-3月の好調に支えられた数字であり、4-6月だけで見れば前年比-1.4%と減少トレンドが鮮明だ。メーカー別ではスズキ4万8,373台(同+0.5%)、ホンダ2万5,228台(同+13.4%)、日産1万7,050台(同+21.8%、ルークスのフルモデルチェンジ効果)が伸びた一方、ダイハツは4万2,553台(同-10.8%)と大幅減。認証問題からのブランド回復は道半ばだ。

輸入車はJAIA速報(2026年7月6日公表)によると総計4万1,887台(前年同月比+21.5%)。外国メーカー車は2万6,604台(同+6.1%)と持ち直したが、日本メーカーの海外生産・逆輸入車が1万5,283台(同+62.6%)と急増した。上期累計では外国メーカー車11万7,896台(同-3.5%)と低迷する一方、日本メーカー車7万2,330台(同+38.1%)と急伸。輸入車市場の主役が欧州プレミアムから日本メーカー逆輸入車にシフトする構造変化が鮮明になっている。

中古車市場 - 登録は堅調、B2Bは需給タイト継続

自販連の中古車登録台数(2026年6月、2026年7月10日公表)は総合計31万8,965台(前年同月比+4.0%)。乗用車は27万5,103台(同+3.8%)と堅調。輸出抹消登録台数は14万8,096台(同+3.5%)と伸びが鈍化し、ホルムズ海峡問題(2026年3月〜)の影響が輸出に現れ始めている可能性がある。一方、一時抹消登録台数は34万6,127台(同+11.6%)と大幅増で、国内の名義変更・流通が活発化している。

USSの2026年6月月次データ(2027年3月期、USS IRライブラリー)では、出品台数31万9,720台(前年比110.4%)と大幅増。成約台数は20万9,525台(同114.2%)と出品を上回る伸びで、成約率65.5%(前年63.4%、+2.1pt)とニュートラル帯の上限で推移した。成約単価は131万5千円(前年比106.9%)と年初来最高値を更新。2027年3月期第1四半期(4-6月)累計でも、出品104.7%、成約108.4%、成約率65.1%(前年同期62.9%)、成約単価127.9万円(同110.6%)と全指標で前年を上回っている。

Section 2: 今月の核の深掘り - 駆け込み登録の実態と、供給増でも下がらない中古車相場

登録車+13.7%の実態 - 四半期末押し込みとトヨタ集中

6月の登録車+13.7%は一見すると「市場が急回復した」ように見えるが、中身を分解すると以下の3つの要素が重なっている。

第一に、四半期末の登録押し込み。6月は上期(4-9月)の第1四半期末にあたり、ディーラーが販売目標達成のために登録を集中させる月だ。累計の伸びが+2.0%に過ぎないことからも、単月の急伸が「実需の拡大」ではなく「登録タイミングの前倒し」であることを示している。7月には反動減が出る可能性が高い。

第二に、トヨタのブランド依存度の高さ。登録車+13.7%の増加分の大半をトヨタ単独で説明する。上期累計でもトヨタは76万3,568台(同+5.4%)と登録車全体(153万413台)の約半数を占める。ノア/ヴォクシーの受注制限撤廃、カローラの一部改良、アルファードの供給増といったトヨタ固有の要因が登録車全体を押し上げている。

第三に、ホンダ+20.9%、マツダ+23.5%と、トヨタ以外のブランドも好調だった点はポジティブだが、これらもモデルチェンジ効果(CX-5等)や前年の低基数による一過性の要素を含む。

重要なのは、この登録車増加が「下取り車増加→中古車供給増→中古車相場下落」の古典的連鎖を引き起こしていないことだ。USSの成約単価は131万5千円と、むしろ前月から上昇している。その理由は、新車登録の増加分がリース車両や法人登録に偏り、中古車市場に流入する下取り車がまだ限定的であること、下取りが中古市場に流入するラグが通常3〜6カ月あることにある。本格的な供給増は2026年秋以降となる見通しだ。

軽3カ月連続マイナス - 構造的シフトの可能性

軽自動車の3カ月連続マイナスは、単なる月次変動ではなく、構造的な需要シフトの可能性を示唆する。環境性能割の廃止(2026年4月)により登録車と軽の税制差が縮小し、消費者の「登録車回帰」が起きている可能性がある。また、N-BOX、スペーシア、タントといった主要車種はモデルチェンジから時間が経過し、新型車効果が一巡している。ダイハツの認証問題からのブランド回復も道半ばで、6月単月でダイハツは前年比-10.8%と大幅減だ。

上期累計では+1.3%とプラスを維持しているが、4-6月だけで見れば軽は前年比-1.4%と明確な減少トレンドにある。このまま推移すれば、2-3年後の中古軽供給減少に直結する。軽を主力とする地方店舗にとっては、中期的な仕入れ戦略の見直しが必要になる局面だ。

出品増・成約単価上昇の同時進行 - 仕入れ意欲が供給を上回る

USSの6月データで最も注目すべきは、出品台数が+10.4%と大きく増えたにもかかわらず、成約単価が+6.9%で年初来最高値を更新した点だ。通常、出品が増えれば単価は下がる方向に働くが、6月は成約台数が+14.2%と出品を大きく上回るペースで伸び、成約率も+2.1pt上昇した。

この背景には以下がある。第一に、輸出需要の継続的下支え。輸出抹消は+3.5%と伸びが鈍化しているものの、迂回ルートが機能し、輸出全体の数量は維持されている。第二に、中古車店の仕入れ意欲の強さ。新車ディーラーの受注動向は「前月から変わらない」が多数を占め(日刊自動車新聞2026年6月30日報道)、新車販売の現場は期待したほど活況ではない。この環境下で中古車店は「今のうちに仕入れておく」姿勢を強めており、これが成約率を押し上げている。第三に、一時抹消が+11.6%と急増しており、中古車は「輸出に流れず国内で回転している」状態である。これがB2B相場の下支えになっている。

熊本地震 - 供給ショックの新たな火種

7月28日16時27分に熊本県で発生した震度7の地震(令和8年熊本地震)は、九州の自動車生産を直撃した。トヨタ自動車九州の3工場(宮田・苅田・小倉)は29日朝に一旦再開したものの、同日夕方に再停止し、31日までの稼働停止を決定。8月以降の再開は未定(時事通信2026年7月29日報道)。ホンダ熊本製作所(二輪車生産)も31日まで停止。ダイハツ九州の大分・久留米工場、日産九州の一部ラインも停止している。

さらに深刻なのは部品・半導体メーカーの被災だ。アイシン九州(熊本市)は余震が続き建屋に立ち入れず、被害確認すらできていない。アステモ宇城工場(熊本県宇城市)は外壁が崩れ停電。TSMC、ソニー、ルネサス、三菱電機の半導体工場も停止中で、サプライチェーン全体の復旧には時間がかかる見通しだ。2016年の熊本地震ではソニー半導体の生産再開に約3.5カ月を要した前例があり、今回の地震が同様の長期化となれば、電子部品の供給不足が自動車生産を再び制約する。

この地震が7月の新車登録統計に与える影響は限定的(地震発生日が7月28日と月末のため)だが、8月以降の生産・出荷への影響は避けられない。トヨタ九州の3工場だけで月産数万台規模の生産能力があり、停止が長引けば新車供給の減少→下取り減→中古車供給のさらなる逼迫という連鎖が想定される。特にレクサス車(宮田工場)、ダイハツ系軽自動車(大分・久留米)の中古相場は値上がり圧力が強まる公算が大きい。

Section 3: 車種・ボディタイプ動向

登録車通称名別 - ランドクルーザーとRAV4が急浮上、滞留需要の消化進む

自販連の通称名別ランキング(2026年6月)では、ヤリスが1万2,607台(前年同月比+5.6%)で首位を維持。ライズが1万2,208台(同+8.8%)で2位、シエンタが1万1,730台(同+39.9%)で3位と、トヨタのコンパクトSUV・ミニバンが上位を固めた。

最大の動きはランドクルーザーだ。5月の28位から6位(8,778台、同+118.1%)へ22ランク上昇。背景は長期間の受注停止・納車待ちの解消で、「数年お待たせしたお客様への納車が進んでいる」(都内トヨタディーラー、グーネット自動車流通2026年7月16日報道)。RAV4も6,990台(同+180.0%)で10位に浮上し、供給正常化に伴う滞留需要の消化と見られる。ヴェゼル(ホンダ)は7,279台(同+51.4%)で9位に上昇、5月の一部改良効果が持続している。一方、ノート(日産)は5,956台(同-14.3%)と減少が続き、クラウン(トヨタ)は3,536台(同-34.5%)とセダン市場の縮小が続いている。

軽自動車通称名別 - N-BOX独走、ダイハツ勢は低調

全軽自協の通称名別確報(2026年6月)では、N-BOX(ホンダ)が1万9,527台(前年同月比+20.9%)で首位を独走。2位スペーシア(スズキ)の1万3,966台(同+18.9%)に5,500台以上の差をつけた。N-BOXの強さは商品力の安定と、ホンダの生産正常化が重なった結果と見られる。

タント(ダイハツ)は1万487台(同-6.6%)で3位。ムーヴ(ダイハツ)は9,649台(同-24.4%)と大幅減。前年同月がダイハツ認証問題からの回復途上で高水準だった反動もあるが、ダイハツのブランド回復はなお途上だ。ルークス(日産)は8,635台(同+42.4%)とフルモデルチェンジ効果が持続し、軽市場で存在感を高めている。軽EVでは日産サクラが補助金見直しの影響で低調が続いており、軽EV市場全体の伸び悩みが続く。

輸入車 - 日本メーカー逆輸入が欧州プレミアムを凌駕

JAIAデータでは、スズキ(インド生産ジムニー等)が4,938台でブランド別首位を堅持。日本メーカーの海外生産車が輸入車全体の36.5%を占めるまでに拡大した。上期累計ではスズキが3万4,288台で首位、トヨタも1万5,977台(同+1272.1%)と急浮上している。一方、メルセデス・ベンツ4,512台(同-4.6%)、BMW3,379台(同-11.2%)と欧州プレミアムブランドは軒並み前年割れ。日本市場の輸入車セグメントでは、欧州プレミアムから日本メーカー逆輸入への構造シフトが加速している。

Section 4: 今月の示唆

  1. 8月第1週までに熊本地震の影響を評価し、仕入れ計画に織り込む トヨタ九州・ダイハツ・ホンダの工場停止が8月以降に延長された場合、新車供給の減少→下取り減→中古車供給逼迫の連鎖が9〜10月に顕在化する。特に九州産の車種(レクサスNX/RX、トヨタハリアー、ダイハツ軽自動車)の中古相場は値上がり圧力が強まる。8月第1週までに各社の再開見通しを確認し、これらの車種の仕入れ計画を再点検すべき。
  2. 中古車相場の高止まり(131.5万円)を前提に、夏場の仕入れ戦略を再点検する 成約単価が9カ月連続で前年を上回り、出品増でも下がらない構造が続いている。6月に高値で仕入れた在庫は熊本地震の供給ショックで含み益が乗る可能性がある一方、輸出環境の変化で急変するリスクもある。7月末までに回転日数の長い車種を棚卸しし、価格見直しの判断基準を定めておく。
  3. 軽依存度の高い店舗は中期的なポートフォリオ見直しを開始する 軽新車の3カ月連続マイナスとダイハツの低迷が続けば、2027年以降の中古軽供給が減少する。軽の買取チャネル強化と、登録車コンパクトカーの仕入れ拡大を並行して検討するタイミングだ。
  4. ランドクルーザー・RAV4の中古相場は2027年初頭の軟化を視野に ランドクルーザー(+118.1%)とRAV4(+180.0%)の新車登録急増は受注残消化の証左。新車納車が進めば半年〜1年後に下取り車として中古市場に流入する。現時点では高値圏だが、長期在庫化するリスクを考慮し、これらの車種の仕入れ価格上限を定めておく。

出典一覧

  • 自販連:車種別登録台数統計 2026年6月分、通称名別ランキング 2026年6月分、中古車登録台数 2026年6月度
  • 全軽自協:軽四輪車新車販売速報 2026年6月分(2026年7月1日発表)、通称名別確報 2026年6月分
  • JAIA:2026年6月度輸入車新規登録台数速報(2026年7月6日公表)
  • USS:IRライブラリー月次データ 2027年3月期 6月度
  • 日刊自動車新聞:2026年7月1日「2026年上期の国内新車販売、1.8%増の238万台」、2026年6月30日「2026年5月のディーラー受注動向」
  • AUTOCAR JAPAN:2026年7月「2026年6月期および上半期の新車販売台数」
  • グーネット自動車流通:2026年7月16日「2026年6月版 新車販売台数ランキングTOP20」
  • 時事通信:2026年7月29日「トヨタ九州、工場再停止 半導体関連各社、被害確認急ぐ」

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